PR

【感想】池澤夏樹『スティル・ライフ』|人生に迷い、立ち止まりたい時に効く「透明」な名作

この記事は約5分で読めます。

あるブロガーさんが「人生の一冊」として紹介していたので、手に取ってみました。

読み始めて最初に感じたのは、不思議な感覚です。
「これは小説なのだろうか?」と思わせるほど、劇的な展開があるわけではありません。

しかし、その文章はどこまでも透明で、なんとも言えない「まったり」とした、あるいは「ゆったり」とした時間が流れています。

社会の喧騒から離れて、静かな雨音を聞いているような読書体験。
これは、人生につまずいている時や、少し立ち止まりたい時に読むと、心が救われるような本です。

今回は、池澤夏樹さんの芥川賞受賞作『スティル・ライフ』をご紹介します。

全体を見るから、動けなくなる

この小説には、科学的な知見や哲学的な視点が散りばめられていますが、中でも特にハッとさせられた一節があります。

主人公たちが語る、人生の選択についての言葉です。

大事なのは全体についての真理だ。部分的な真理ならばいつでも手に入る。それでいいのならば、人生で何をするかを決めることだってたやすい。全体を見てから決めようとするから、ぼくのようなふらふら人間が出来上がるのだ。

【感想】「ふらふら人間」でいいじゃないか

この言葉の意味、わかりますでしょうか?

私たちはつい、目先の利益や小さな「部分的な真理」を追い求めがちです。確かに、目先の目標や正解があったほうが、「いま何をすべきか」を決めるのは簡単です。

でも、この主人公はもっと大きな「全体」を見ようとしています。
僕もそうなんですが、無駄に老後の心配をしたり、「人生とは何か」なんて壮大なことを考えたりしていると、結局いま何をしていいかわからなくなってしまいます。

そして、「ぼくのようなふらふら人間が出来上がるのだ」というわけです。

一見、ネガティブなことのように思えますが、この本を読むと「それでもいいんだ」と思えてきます。
社会のレールに乗って効率的に生きることだけが正解ではない。全体を見ようとして迷ってしまう不器用さもまた、人間らしい愛すべき姿なのだと感じさせてくれます。

まとめ:静かな時間を持ちたいあなたへ

『スティル・ライフ(静物画)』というタイトルの通り、この本は動きの少ない、けれど美しい絵画のような小説です。

  • 毎日忙しすぎて、自分がどこにいるかわからない
  • 将来のことを考えすぎて、足がすくんでいる
  • ドラマチックな物語よりも、心に染みる文章を読みたい

そんな方は、ぜひこの本を開いてみてください。
焦らなくていい、ふらふらしていてもいい。そんな静かな肯定感が、あなたの心を癒やしてくれるはずです。

▼今回紹介した本はコチラ

スティル・ライフ impala e-books
池澤夏樹 著

タイトルとURLをコピーしました